trade2の日記

2006/10/21(土)
[本][趣味]韓非子とか荘子とか

先日朝日新聞で芥川龍之介の河童の一節がでていたので久々に青空文庫で「歯車」(http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card40.html)を読んでみた。

なかにいろいろ暗示が出ていて

緑は味方

黄色は敵

レインコートは死

茶は不愉快

薔薇は避難所

白と黒は弱い味方

左は不安

赤はキリスト

翼はキリスト教

http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/40_15151.html

をひらいてCtrl+Fで各キーワードを順に探していくと面白い。



おや紫がでてこないな。そこまではこの時間にはないんだなとか思いつつ



 日の暮に近い丸善の二階には僕の外に客もないらしかつた。僕は電燈の光の中に書棚の間をさまよつて行つた。それから「宗教」と云ふ札を掲げた書棚の前に足を休め、緑いろの表紙をした一冊の本へ目を通した。この本は目次の第何章かに「恐しい四つの敵、――疑惑、恐怖、驕慢(けうまん)、官能的欲望」と云ふ言葉を並べてゐた。僕はかう云ふ言葉を見るが早いか、一層反抗的精神の起るのを感じた。それ等の敵と呼ばれるものは少くとも僕には感受性や理智の異名に外ならなかつた。が、伝統的精神もやはり近代的精神のやうにやはり僕を不幸にするのは愈(いよいよ)僕にはたまらなかつた。僕はこの本を手にしたまま、ふといつかペン・ネエムに用ひた「寿陵余子(じゆりようよし)」と云ふ言葉を思ひ出した。それは邯鄲(かんたん)の歩みを学ばないうちに寿陵の歩みを忘れてしまひ、蛇行匍匐(だかうほふく)して帰郷したと云ふ「韓非子(かんぴし)」中の青年だつた。今日の僕は誰の目にも「寿陵余子」であるのに違ひなかつた。しかしまだ地獄へ堕ちなかつた僕もこのペン・ネエムを用ひてゐたことは、

ここででてくる『韓非子』がじつは『荘子』の誤りであるというのが面白い。雑誌社も推敲しているはずなのでこれはわざと間違ったと見るほうが正しいのではないだろうか。

韓非子の作者は始皇帝の臣下から無理やり毒を飲まされて死んだそうだし、『河童』にもそういうくだりが出てくるから多分芥川はそういうメッセージを残したかったのだろう。

芥川というひとはプライベートと仕事を完全に分離していたそうだから多分自伝に見せかけてちゃっかりお仕事していると思うとなんだか面白いなぁと思ったり。なんか文章の向こう側でいろいろ仕掛けをしたのがうまいことはまって、してやったりとかおもってクスリと笑う芥川さんの顔が見えるようだ。

荘子と韓非子については読んだことがないのでわからない。昔は孫子とか戦争論とかいろいろ読んだけれど、たとえばビジネスにおいての孫子の兵法とかいう感じのノリで、そのとき荘子とか老子とか韓非子についてはブームではなかったんだろう。学生のころはぜんぜんそういう本とは縁がなかったし。

人間はほかの動物と違って本能が弱いので、ほかの動物が親がいなくてもその動物になるのに、人間は狼に育てられれば狼になり人間に育てられれば人間になりで、なんにでもなれる代わりに人間になりたかったら勉強するしかない。

で、人間は何千年の昔から服装とか流行は変わってもだいたい朝起きてご飯食べて昼は仕事して子供作って死んでいくというように同じことを繰り返しているので、昔の人の苦労話を読むと自分が直面している難題の解決の手がかりをつかめたりする。まったく昔の人と自分の人生が同じこともあるけれど、それは『人間だから』そういうこともあるんだろう。

たいていは親とか親戚とかから情報を得られるんだけれど、とんでもない苦労話は身近に手本がない場合もあって、そういう時は本が役にたつ。

紙の上に言葉が並んでいるだけなのに威力を発揮するんだから本はすごい。

最近自分もいろいろ本やなにかをパソコンに取り込んでDVD−ROMに焼き付けたりしているけれど、これってパソコンや電気がないと見られないんだよなぁ。いまLSIとか開発している技術者がある日突然集団でいなくなったり、電気が止まったりしたら、全部見られなくなるんだよなぁ。やっぱり本は石版とか紙とかに記録したほうが長持ちするんだろうかとか思ったり。インターネットは隅々まで届けるのには便利なんだけれど、長年持たせるにはちょっと不安だよなとか。

かなり脱線してしまったが、韓非子。読んだことがないのでネットで探してみる。ウィキペディアで韓非子についての説明を読む。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E9%9D%9E%E5%AD%90)本家中国で電子化された本があるらしい。中国哲学電子化計画(http://chinese.dsturgeon.net/index_gb.html)ちょっと読んでみたけれどまったくちんぷんかんぷんだ。途方にくれていたが、そうだ国立国会図書館の近代ライブラリーがあるじゃないか(http://kindai.ndl.go.jp/index.html)ここならちょっと古い漢字とかいっぱい使って読みにくいのもあるけれど、まだ日本語だ。さがしたら結構検索で引っかかる。

ちょっと韓非子勉強してみます。



余談

そういえばレインコートも雨合羽、合羽(Kappa)っていいますね。


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